2010年10月28日木曜日

Alain Chapel

アラン・シャペル氏が享年52歳で亡くなって今年で20年になる。僕にとってもフランス料理界にとっても特別な存在だった。

何度もミヨネー村まで足を運んだ。「レストラン・アラン・シャペル」の雰囲気は独特だった。ホスピタリティーあふれる、という表現とは少し違う。シャペルという人間の包容力そのもの、といった趣か。氏の姿が見えなくてもその「存在感」は確固たるものだった。そしてあの料理だ。ミヨネーのテロワールとシャペルという人間と、その融合の中から生み出されるクリエーション。

 初夏にミヨネー村を訪れたことがある。店舗の後方は一面の菜の花だった。今、我々の店の前を流れる香東川の河川敷でも季節になると黄色い風景を見ることができる。そのたびに思い出す、ミヨネーの思い出。

アラン・シャペルの料理を食べに行くことは、アラン・シャペルに会いに行くことと同義だった。偉大な料理人のフィロソフィーは今も世界中で受け継がれている。