2010年11月12日金曜日

Agneau de lait

ハンガリーと言えば近年、フォア・グラの産地として有名になった。僕はフランス産のフォア・グラを使う機会が多いけれどハンガリーの物もなかなかの品質だ。ハンガリーからはその他、ジビエなどの食材も輸入されるようになったが最近では「ミルク・ラム」の良質な物が届く。

フランスでは「アニョー・ド・レ」と呼ばれ、珍重される食材の「ミルク・ラム」はまだ草を食む前の小さな幼羊だ。半頭単位、約4キロ程の物が入荷する。半頭なので腕肉、肩肉、背肉、鞍下肉、股肉、その他と各部位を適切に処理、調理しないとロスが出てしまう難しい素材でもある。

今日は鞍下肉の部分の骨を外し筒状に成形してクレピーヌという豚の網脂で包み、その上から糸で全体に均一な力がかかるように縛り、55℃のオイル・バスに入れる。その後オリーブ・オイルと少量のバターでこんがりとソテー、よく脂を拭き取ってから筒状に切り分けて、更に焼網でグリエする。

複雑な調理加熱工程を経て初めてミルク・ラムの持ち味である柔らかさと、焼いた肉のダイナミズムが両立できる。