2010年11月8日月曜日

Romanee-St-Vivant

例えば、ソムリエ・ナイフとか、シガー・カッター、シガー・ライター、ペン、片手で使うような小さな道具は特にそうなのだけれど、こだわる。手触りとか重み、材質感、色々な要因から感じる心地よさ。好きなブランド。それにその道具との付き合いから生じた歴史や思い出も大切だ。壊れたからってそう簡単に新しい物に移行できない。例えば修理して帰って来たらまた歴史が生まれる。

そして僕は物を集めるのが好きだ。ワイン・セラーは本棚のような感覚。何年も前からずっと持っている葡萄酒も沢山ある。思い入れのある葡萄酒は可愛い。「いったい何時、誰に飲まれるのか、おまえは」と語りかける。愛しているから。だからリストに入れない葡萄酒だってある。「いっそのこと自分で飲もうか」、でも違うんだな、誰かに飲んで欲しいいんだ。少しでも価値観が共有できる誰かに。この辺りが僕のレストラトゥールとしての思考だ。

そして、出会えた。「1998 Romanee-St-Vivant Domaine de la Romanee-Conti」。

5.2858ヘクタールのクリマから1998年の生産本数わずか13026本。サン・ヴィヴァン修道院に由来する歴史ある畑から生み出されるその葡萄酒は、欲したからといって何時でも巡り合えるようなものではない。運命の出会いがない限り。