2011年6月30日木曜日

Champignon sauvage dans le jardin 3

最近、朝レストランに到着すると木の木陰や普段見ないような足元をキョロキョロと覗いている。先日の茸以来、どこかに見慣れない植物がないかなー、とか思っているからだ。で、今朝はあった。この周辺にこれと同じ茸がいくつも生息していた。でも茸は数日で姿を消してしまう。そして違う場所に現れる。全部庭の中なんだけれど、この苔むした土もなかなか風情があって良い。

これも食べれそうに見えるけど、多分食べることはできない。勿論、挑戦してみたりしませんよ。名前も知らないんだから。

2011年6月29日水曜日

Photo 23 [Frame]

[Frame]

子供たちの写真をフレームにおさめて壁にかけている。沢山あるのでさながら個展のようだ。でも自宅なのでどなたにもお見せできない。僕たち4人だけの楽しみだ。

2011年6月28日火曜日

Hydrangea

香川県の最北端であり竹居岬に位置する庵治町は、石材の庵治石で有名な場所だ。その辺りに行くといたるところに石切り場だとか、石材屋さんの敷地に色々な形に彫刻された石のオブジェが並んでいる。セールスの看板みたいなものだ。義父がその庵治にセカンド・ハウスを構えているのでたまに遊びにゆく。先日はちょうど庵治町の町花にもなっている「紫陽花」が綺麗に咲いていた。後方に瀬戸内海国立公園を一望できる高台のオーシャン・ヴューだ。

僕は6月生まれからなのか、何となく昔から「紫陽花」が好きだ。「紫陽花」は一般に花弁のように見える部分は装飾花で中性花である。その装飾花である萼は開花後、日数により様々な色に変化する。土壌のpHや成分の影響受けて変化するらしい。そして「紫陽花」には毒性があり摂取すると中毒をお越し、稀に死亡することもある。レストランなどで知識の無い料理人が「紫陽花」を装飾に利用したり、氷に浮かべたりすることがあるが、とても注意が必要だ。

「紫陽花」に限らないけれど、花は数がまとまるととても壮観だ。「紫陽花」の名所は関東にもあったけれど、神戸市立森林公園にも紫陽花園があるらしい。来年のシーズンには子供たちを連れて出かけてみようかな。

ディズニー・リゾートでは見つからないものがあるかもしれないよ、きっと。

2011年6月27日月曜日

Truffe 15

依然としてオーストラリア産の黒トリュフは好調だ。内部のマーブル模様がフランス産に比べ若干だが荒いのかもしれない。しかしもう少し数を見ないと解らないな。エクストラが来るのを待つことにしよう。

2011年6月25日土曜日

Truffe 14

http://tomoshiroinoue.blogspot.com/search/label/truffe

http://tomoshiroinoue.blogspot.com/2011/05/truffe-13.html

僕は以前、

<<悪魔的な黒トリュフ、そして爽やかで貴婦人のような「サマー・トリュフ」二人が出会うことはない。>>

と書いたことがある。その時のモードはやはりヨーロッパ、フランス・モードだったからだ。だから基本的に、感情的にはあの二人が出会うことは無いと今でも思っている。

ところで地球は緯度0度の線、赤道を基準に北半球と南半球に分かれる。余談だが赤道は英語で「Equator」と呼ばれショコラの商品名の由来になっていたりする。地理や天文学においても非常に重要な要素だ。そして北半球と南半球では季節が逆転する。例えばオーストラリアはクリスマスが真夏に訪れる。サンタクロースは何を着ているのだろう・・・。ヨーロッパが夏で暑い時にオーストラリアは冬になる。

「オーストラリア南西部にあるパースの更に南西にManjimup(マンジマップ)というという地方がある。この地方はその気候、土壌が世界に名高いトリュフの名産地、フランスのペリゴール地方に酷似している。そこでは品質、香り供にフランス産にひけをとらないレベルの最高級品の黒トリュフを産する。」(参考文献 「株式会社ノーザンエクスプレス資料」より)

というわけで近年、夏にオーストラリアから黒トリュフが届くようになった。季節が逆なので感覚的に云々言う人もいるけれど、僕は使う。現代に起きているこの流通革命を利用しない手は無いと思うからだ。柔軟に対応する。そしてその品質は本当に嘘ではなかったのだ。

なので、僕の調理場では物理的に悪魔と貴婦人が出会ってしまった。この先どうななるのか、しばし傍観するとしよう。

2011年6月24日金曜日

Le Marche 2011.6.24

天候の影響で魚の入荷がとても不安定だ。供給が少なかったり、種類が少なかったり、その両方だったり。そんな中、市場の魚屋さんが一生懸命に魚を見つけてきてくれる。携帯電話で打ち合わせしつつ現場で会い、更に直接魚を見て回る。今日は鯛や鱸といった白身は全然見当たらなくて困ったけれど、「鰆」や「サゴシ」、「マナガツオ」はいた。

そして、とても鋭い歯だけれど、ピカピカの「サゴシ」を手に入れることができた。

2011年6月23日木曜日

Champignon sauvage dans le jardin 2

昨日は結構大きな茸を見つけてびっくりした。でもそういう目で庭を見渡すと何種類もの茸がある。雨の合間を狙って顔を出した茸たち。こちらは昨日のよりはずいぶん小ぶりだけれど双子の可愛い茸だ。頭の上のお皿に水をためて何やら相談し合っている。

2011年6月22日水曜日

Champignon sauvage dans le jardin 1

梅雨の晴れ間、庭の松の根元に大きな茸を発見。昨日は無かったから一晩ででてきた。毎年色々な茸を見かける。結構種類も豊富だ。でも、おそらくどれも食用にはならないのだろう。

僕は彼らの名前も知らない。

2011年6月21日火曜日

Asparagus L.

菜園ではアスペルジュの背丈が伸びてきた。その横ではメンテナンス・フリーの人参が開花してしまった。自由に生きている。ここは3段ある段々畑の2段目だ。色々な種や苗を植えたので楽しみにしている。ここのところ雨も多いので水やりもフリーだ。「うーん。」今年はどうなるのかなー。お手入れしなければいけないなー。

2011年6月20日月曜日

2011.6.20

今日は僕の誕生日だそうだ。人からそう聞いていつの頃からかそう覚えた。戸籍謄本にもそう記してあった。そして僕もそろそろ自分の誕生日をうっかり忘れる年齢になったようだ。

「あっ」という間に時間が流れた。自分で何かを選択する間もなく。子供が生まれて、そしてその時に僕も生まれた。その時から人生が始まった。これから先の時間もおそらく殆んど無いに等しい。すぐに終わりを告げるに違いない。

2011年6月18日土曜日

Le Marche 2011.6.18

雨が続き魚が品薄だ。おまけに天然の鯛が選びづらい状態に変わりはない。しかし瀬戸内海はいつも僕を助けてくれる。実に豊富な魚種がいるから。

1尾で4キロ超の「マナガツオ」がやってきた。極上物だ。骨が軟らかく捌くのが難しいとされる魚だけれど僕は東京時代からずいぶんと扱ってきた。関西と関東では同じ魚でもランクや扱いに差がある。やはり京料理の影響下に距離では近い分、「マナガツオ」は香川でも極上高級魚の部類だ。フランス料理の料理人なら解る感覚だと思うけれどこの魚は「赤ワイン・ソースに合う白身魚」だ。その恐るべきポテンシャルは僕のクリエイション魂を刺激してやまない。


私達は「TAP PROJECT 2011」に参加しています。

2011年6月17日金曜日

Le Marche 2011.6.17

今週末は想像を絶する忙しさで、例により、口をきく時間もない。ひたすら仕込みだ。

そんな中、鱸が絶好調だ。鱸もまた生命力の強い魚で、朝、締めてから身が生きている時間がとても長い。いつも生命との対峙だ。とても緊張するけれど、良い物がお客様のもとへ届けられているのは間違いない。自分の胴回りよりも大きく開く口で何かを主張してくる。


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2011年6月16日木曜日

Sanuki Udon 18

この数週間、うどんを食べに行けていない。日曜日に何かと用事ができて行けないからだ。梅雨入りしてだいぶ蒸し暑くなってきたから、そろそろ「ざるうどん」の季節かな。「釜あげうどん」はとても好きなのだけれど、暑い日に汗をかきながら食べることはできそうもない。

「ざるうどん」の美味しさは小麦粉本来の美味しさだ。麺の中心までしっかり冷えた「ざるうどん」が早く食べたい今日この頃。


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2011年6月15日水曜日

Le Marche 2011.6.15

鯛や鱸はだいたいの場合三枚におろす。そして上身を更に解体する。中骨を中心に腹と背に分け、更に尾に近い、頭に近い、その中間と魚の大きさにより分割する。そしてコースの流れなど色々な条件に合わせどの部分を使うのか決めてゆく。

尾に近い部分は何も2級品ではない。いつも動かしているから運動量が多く筋肉が発達している。カマも良く動く部分だが尾とは少し違う。脂のある腹、背側でもひれに近い部分と中骨に近い部分・・・。魚が大きければ大きいほど分割する意味がでてくる。

頭だって勿論美味しい。でもお箸で食べるのか、ナイフとホークなのかによっても料理や器の選び方に差がでてくる。複雑な骨がある頭やカマも綺麗に食べることができるお箸ってすごいんだな、とつくづく思う。


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2011年6月14日火曜日

1μm=0.000 001m

広島から届くベビー・リーフやマイクロ・リーフが僕のお気に入りだ。こんな可愛いエルブが沢山やってくると本当に料理を作るのが楽しい。

みな小指の先ほどの大きさだ。バジルやタンポポ、アマランサスやアカザ、レッド・オゼイユにコリアンダーやルッコラ・・・。間引かれたエルブたちだってちゃんと無駄なく使う。それに小さくたってそれぞれの特徴はきちんと持っている。すごい生命力だ。体に悪いわけがない。

これがあるととたんに料理が生き生きしてくるんだ。


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2011年6月13日月曜日

Rose

レストランについて車をいつもの場所に止めたらすぐ横にバラがさいていた。ピンクのバラだ「Rose」だ。僕は「Rose」にとても縁がある。

「Rose」か、なんだかとても久しぶりに発音したような気がする。最近あのお店の事を表現するときは、決まって「東京の時は」とか言って店名で呼ぶことはめっきり無かったな、そーいえば。何故かは解らないけれど。

「Au Cochon Rose」の僕はもういない。僕は変わり続ける。今日の僕だっていなくなる。変化する僕が変化しない僕だから。



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2011年6月11日土曜日

Fromage

僕はフロマージュが好きだ。フランスで生活している時、休みの日にはよくマルシェにフロマージュを買いにゆき、ブーランジェリーでバゲットを半分買って、ニコラあたりでワインを物色して部屋へ帰り食べた。フロマージュとパンとワイン、なんて幸せなとり合わせ。今でもそんな食事をしている。

フランス人の同僚と毎日一緒に食事をしていたから普段、仕事中でワインを飲めない時も結構フロマージュを食べたなー。フランスでフロマージュのない食卓なんて考えられない。フランス人は朝でも、昼の公園でもキャスクルートにしたカマンベールやシェーブルなんかを頬張っている。あー、勿論僕もね。

フロマージュはフランスやヨーロッパの生活に無くてはならない偉大な発酵食品だ。頻度からすればワインとともに食されているフロマージュの方がはるかに少ない。

レストランで「ワインを飲んでいないのにチーズを勧めるのはおかしい」とか、「ワインが無ければチーズの美味しさが引き立たない」なんていうゲストがいたらしいけれど、それはとても無知で、とても恥ずかしく、とても滑稽で、とても浅はかな発言なので今後改めるとよい。

僕は子供の頃からフロマージュに囲まれて、フランスでフランス人と暮し、フランスで仕事をして、極最近、高松でもフランス人のスタッフがいたからよく知っているんだよ。解りましたか?

今後、もし恥をかかないで済んだとしたら、それは僕のお陰だ。


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Chenopodium album var. centrorubrum

菜園で草むしりをしていたら足元に芝生のように育っている野草。しゃがんでみると「藜」だった。こんなところに自生しいるなんてビックリした。僕は毎日「藜」を料理に使っているからだ。でもここの「藜」はお客様にはお出ししない。広島から届く「藜」を使う。紫から緑へのグランデーションがとても好きだ。

山で摘んだ野草が良いこともあるけれど、人の手のかかっていない野生の「藜」はお皿の上にのせるモードじゃないんだな。でも摘んだり、踏んだりしないように、そのまま遊ばせておこうと思う。


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2011年6月10日金曜日

Escalier

調理場の裏口から外へ出るとこんな苔むした階段がある。僕たちはこの苔を洗い流したりはしない。なんともいい感じの階段だから。この階段を昇ると右が建物の屋上テラスで昇りきった右が菜園だ。もっと昇れば国が所有する山林だ。

ここから上を見上げた時の風景が小さな子供時代にタイムスリップしたようにワクワクと見える時がある。なんだか冒険がまっていそうだから。


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2011年6月9日木曜日

Le jardin

レストランは山の中腹の傾斜地に3階建てで建っている。傾斜地なのですべての階が地面に設置していて建物どうしの重なり合いは少ない。3階の家屋と、2階の屋上がほぼ同じ高さである。2階の屋上はウッド・デッキのテラスになっていて、今の季節はそのテラスにあるパラソルの木陰でガーデン・チェアーに腰かけ、食後のお茶などを召し上がっていただける趣向だ。とても気持ちが良い。

そして、その更に上には3段に分かれて菜園がある。忙しくてなかなかメンテナンスするのが大変なのだが今年もなんとか整備した。

菜園にはミントやアスパラ、人参がほぼほったらかしの状態で自生中、そこに更に苗を植えたり種をまいたりした。こんな時にはいつも義父や義母が手伝ってくれる。1人では絶対にできないことだし、レストランの営業をしながらは無理なのでやるとなると日曜日しかない。雑草を刈ったり、石を拾ったりするだけでも大変な手間だ。いつも本当にありがとうございます。

でも、畑仕事でかく汗はなんとも気持ちの良いものなんだな。


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2011年6月8日水曜日

Le Marche 2011.6.8

夏に向けて脂がのってくる鱸。

天然の鱸も、天然の鯛も肉食性だ。鯛は美食家で小魚から貝類、甲殻類、頭足類などを食べる。頑丈な歯とペンチのように強い力の顎で海老、蟹、サザエなどでも噛み砕く。一方、鱸は主に魚を捕食、自分自身の体に比して、結構大きな魚でも背後から高速に追いかけ丸飲みにする。捕食する物の違いが魚体や口の形状に表れている。鯛はヘリコプターのように水中でホバーリングして固いものをゴツゴツ食べ、鱸はスマートなからだでジェット機のように速く泳ぎ大きく開く口でターゲットを丸飲みに、というように。

フランスで鱸は「海の狼」と呼ばれそのハンターぶりを表している。同じ白身魚でも全く個性の違う両者だが鱸はさながら「海のジビエ」とでもいったところだ。

獰猛な鱧も4キロを裕に超える鱸の下にいると、やけに可愛らしいな。


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2011年6月7日火曜日

Kotori

あれから4年の月日が流れた。あの日は僕にとっても、慶子にとっても生涯忘れることのできない日となった。最愛の長女が生れた日だ。4歳の誕生日は今までの中でも特に感慨深い。それはきっと、だんだんともの心ついてゆく娘の成長ぶりや、思い出の積み重なりが4年の月日の中でいっそう濃縮されたからだと思う。途中には次女が誕生し、長女との二人暮しなんかも経験した。あの時は比喩なんかではなくて、本当に歯をくいしばって頑張った。朝、二人で起きて、二人でレストランまで通勤して、営業が終われば寝てしまった娘を抱きかかえて夜中に帰宅し、夜食を食べさせて、お風呂に入り、着替えさせて、おしめを替えて・・・。でもとても楽しかった。そして達成感もあった。

そして「ことり」は僕に人生そのものの意味と、価値を教えてくれたんだ。

会いに来てくれて本当にありがとう。



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2011年6月6日月曜日

Le Marche 2011.6.4

さすがに天然の鯛は選びきれない日が出て来た。痩せた奴しかいない日があるのだ。それに天候も組み合わさるからなおの事だ。これからの季節、台風や低気圧には注意していないと大変なことになる。漁は雨よりも風に弱い。

築地なら日本中、いや世界中から食材が集まるので壊滅状態にはならない。でも高松では瀬戸内海が主だから怖い。しかし外を吹く風は漁をしている皆さんと共有できるほどレストランは漁場に近いので、ただ自然に身を任せていれば明日の入荷は何となく体感できてしまう。

僕は色々な魚を使う。オコゼやサワラ、アマダイにアジ、イサキ、サヨリ・・・。瀬戸内海のスペシャリテは数多くある。

今日はこれから美味くなる最高のスズキを買うことができた。


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2011年6月4日土曜日

Ciboulette

瀬戸内海をへだてて広島から素晴らしいエルブやベビー・リーフ、マイクロ・リーフが届く。全部お気に入りなのだけれど最近ではシブレットとその花が一緒に使えるのがとても楽しい。お客様にも喜んでいただける。シブレットの花の味はシブレットだ。やっぱり、普通の葱とはその繊細さが全然違う。何よりこの人の作るエルブは生命力に満ち溢れていて枯れたり痛んだりしない。いつまでもパリッとしている。

いつも本当にありがとうございます。


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2011年6月3日金曜日

Bistronomie

勿論、苦労だってないわけではないのだが、それでも僕は高松にきて良かったと思っている。とても素晴らしい環境で仕事ができて、それを子供たちと共有できているからだ。

東京を離れたことで東京を客観的に見れるようになった。料理人の独立思考は以前にもまして強くなっているように思う。だが本当のガストロノミーを追及するのはとても難しくなりつつある。空間を含めたガストロノミーを実現しようとすると巨額な設備投資が必要だから個人ではなかなか、というのが現実だと思う。最近ビストロノミーという言葉を耳にするようになった。ほどほどの内装や立地条件でも料理はワンランク上を目指す、ということなのだろう。

小規模、少人数での運営が目立つ。夫婦二人でとか、下手をしたら一人でとか。人材の確保も難しい。そして何より手堅く商売が成り立つメリットがある。そういうレストランでは多分、お客様が得をできる。一人の料理人が誠意で作る料理をとてもリーズナブルに食べることができるのだと思う。大儲けしたくてやっている料理人はそういうレストランの主にはなっていないだろうから。

その手のレストランはもうムニュ(コース料理)を提示しない。ア・ラ・カルトで好きなように、食べたい物を食べたいだけ、というTPOが多いからだ。ガストロノミーはムニュ全体の流れで、ビストロノミーは何かに特化した個性のア・ラ・カルトで、というところかな。

いずれにしろ、我々レストラン業界はいつもその時代その時代の大きな時代の潮流に押し流され、その岐路を混沌とさまよっている。


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2011年6月2日木曜日

Le Marche 2011.6.2

鱧の季節がやってきた。鱧は僕に緊張感を与える。緊張を強く激しく投げかけてくる。

鱧を扱うには特別なテクニックが必要ということが一つ。それと朝、市場で締めてレストランに運んできてもまだ生きている。とても生命力が強い。ようするに生体を捌かなくてはならない。

他の素材だって同じだけれど、他者の命を奪い、料理するという人間の、そして生きてゆく為の、根源的行動に葛藤を覚えるからだ。

僕は鱧に噛みつかれたことがある。「痛い」というよりも鱧の牙が自分の体にくい込んでくるその感覚が、鱧は僕を憎んでいる、鱧は僕を殺そうとしている、まるで胸にナイフが突き刺さるような戦慄に変わり恐怖を感じた。

それ以来、僕は鱧に最上級の敬意を払い続けている。生命と対峙するとはこういうことなのかと、教えてくれたから。


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2011年6月1日水曜日

Schloss Neuschwanstein

ゴールデン・ウィークの代休として3連休した。いつもなら大阪や東京のホテルでゆっくりと過ごすのだが、今回は長女の4歳の誕生日を控えていたので、プレゼントにと思い、思い切って「東京ディズニーリゾート」へ行くことにした。リゾート内でもっとも新しい「東京ディズニーランドホテル」に宿泊してたっぷりと子供たちと過ごせた。天気を心配していたのだが日中はとても良い天気に恵まれた上に、どのアトラクションも殆んど待ち時間0の状況で楽しめた。

子供たちの喜ぶ顔を見るのが何より僕たちに力を与えてくれる。それに世界最高捧のホスピタリティ・インダストリーのもてなしはいつも最上級だ。本当にありがとう。

僕は小さな時から「お城」に深い縁があるのだけれど、ここのシンデレラ城はドイツにあるノイシュバンシュタインをある角度から見たときに似ている。モチーフになっているのかどうかは知らないけれど、まるで故郷に帰って来た時のような旅情を僕に感じさせてくれる風景でもあるんだ。


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