2011年6月25日土曜日

Truffe 14

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僕は以前、

<<悪魔的な黒トリュフ、そして爽やかで貴婦人のような「サマー・トリュフ」二人が出会うことはない。>>

と書いたことがある。その時のモードはやはりヨーロッパ、フランス・モードだったからだ。だから基本的に、感情的にはあの二人が出会うことは無いと今でも思っている。

ところで地球は緯度0度の線、赤道を基準に北半球と南半球に分かれる。余談だが赤道は英語で「Equator」と呼ばれショコラの商品名の由来になっていたりする。地理や天文学においても非常に重要な要素だ。そして北半球と南半球では季節が逆転する。例えばオーストラリアはクリスマスが真夏に訪れる。サンタクロースは何を着ているのだろう・・・。ヨーロッパが夏で暑い時にオーストラリアは冬になる。

「オーストラリア南西部にあるパースの更に南西にManjimup(マンジマップ)というという地方がある。この地方はその気候、土壌が世界に名高いトリュフの名産地、フランスのペリゴール地方に酷似している。そこでは品質、香り供にフランス産にひけをとらないレベルの最高級品の黒トリュフを産する。」(参考文献 「株式会社ノーザンエクスプレス資料」より)

というわけで近年、夏にオーストラリアから黒トリュフが届くようになった。季節が逆なので感覚的に云々言う人もいるけれど、僕は使う。現代に起きているこの流通革命を利用しない手は無いと思うからだ。柔軟に対応する。そしてその品質は本当に嘘ではなかったのだ。

なので、僕の調理場では物理的に悪魔と貴婦人が出会ってしまった。この先どうななるのか、しばし傍観するとしよう。