2011年7月18日月曜日

Traceability

http://tomoshiroinoue.blogspot.com/2011/01/beef-marbling-standard.html

フランス料理では「さし」の入った和牛などよりも脂の少ない赤身肉の方が使われる頻度が高いと思う。メイン・ディッシュでグリエしたりポワレする場合は特にそうだ。脂質がソースやガルニチュールとの相性を邪魔することがあるからだ。「さし」の多い和牛は基本的にあまり厚く切らない方が良い。そして食べる時にはある程度脂が落ちていないと美味しくない。だから「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」といった調理法が適しているのだ。

香川県には「讃岐牛」という黒毛和牛がいる。高価な上に扱いがとても難しいけれど、やはり地元の牛肉を使いたいので日々研究している。ロースを丸ごと一本仕入れるからリブ・ロースからサーロイン側まで肉質が様々で一筋縄ではいかないけれど、むしろそこが面白い。

ただ、香川県に1つ注文をつけたい事もある。牛肉には個体識別番号というトレーサビリティが適用されているのだが多くの場合、仔牛は熊本県や宮崎県のような県外から購入している。それを香川県で2年程度飼育しただけで「讃岐牛」とうたっても「讃岐牛」であるための特徴にやや乏しい。「讃岐牛」と言うからにはそれなりの基準や肉質の個性にさらなる改善が必要だと思う。最近「オリーブ牛」というブランドを造り、飼料に香川県の特産品であるオリーブを混ぜている牛があるのだが少し開発の視点がずれていると思う。料理人の触手を刺激するものではない。県産品のブランド化はその他のものもあまり巧くできていないのがとても残念だ。