2011年2月28日月曜日

Valoir l`os

昨日、27日の日曜日に乳飲仔羊、「アニョー・ド・レ」を半頭、右半身を解体した。僕は料理するのが目的だから普段は「肉をさばく」と思って作業する。

しかしこの日は違った。骨の間接を外さないようにして骨を大切に、骨から筋肉を取り外す作業だ。何故ならばこの日は僕がお世話になっている「整骨院」の先生達の勉強会だったからだ。

医大などにいって人体を見ることもできるそうなのだが、レストランの厨房で相手が羊なら自由に細部まで観察できるから、ということで話が決まったのだ。

普段なら肉を部位で分けるためにどんどん間接で切り離してしまう。しかし今回のような趣向で肉をさばくとまた違った物が見えてくる。今後の作業に影響するであろう面白い体験だった。

2011年2月26日土曜日

Le Marche 2011.2.26

地産地消という基本的ベースがあって、そこにさまざまな食材を融合させて行くのが僕のやり方だ。だからブルターニュ産のオマール海老も毎週送られてくるし、北海道のウニや白子もある。そしてフランス料理の魚の王者、「ソーモン」も例にもれない。高松中央卸売市場にもノルウェーやスコットランドの「ソーモン」がやってくる。国産の「時しらず」なんかを見かけたら思わず買ってしまう。最高の食材だ。白身の魚と全く違うクオリティーは料理人のクリエイション魂を刺激してやまない。

2011年2月25日金曜日

Dream

今日、久しぶりに学校へ行った。高松市内にある公立中学校だ。ずっと忘れていたあの雰囲気。

「夢と希望を語り合う会」というパネル・ディスカッションにパネリストとしてうちのかみさんが招聘されたからだ。そこで中学2年生約160人と3人のパネリストが語り合う、という設定だ。

「自分の生き方」、「子供の頃の夢」、「印象的な出来事、言葉、出会い」、「挫折をどう乗り越えたか」などについての語り合いを僕は1番後ろの席から聞いていた。

あの年頃の子に仕事に対する情熱や生き方を伝えるのは難しいだろうな。やってみなければ解らないことを想像できれば誰も苦労しない。学生に気持ちを伝える難しさに挑んでいる先生達に刺激された一日だった。

2011年2月24日木曜日

Bonjour !

リクルートのテレビ・コマーシャルが東京でOAされてからというもの、「びっくりした」という人が続出している。当たり前だ。僕だって初めてテレビを見たときは「びっくり」した。

しかし、東京から離れて、なかなか顔を見る事ができないでいる友人や知人に「よー、久しぶり」的な感じで出現できるのはちょっと面白い感覚だ。

さー、今日もコンプレだ。

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2011年2月23日水曜日

Sanuki Udon 3

この1ヶ月で3回連続、いつものお店で「釜あげうどん」を食べた。3回の中では今回が1番美味しかった。極わずかな麺の太さ、エッジの立ち方、お店に入るタイミング。写真からも微妙な差は解ると思う。

でももっとすごい時が来るのでは、と感じる。今までこのお店に通っていて思うことだ。「讃岐うどん」は本当に飽きない、シンプルだからこそ興味深い。とても好きだ。

2011年2月22日火曜日

Le Marche 2011.2.22

風格のある鯛がやってきた。子や白子が少しずつ入り始めている。いよいよ桜鯛の季節がやって来る。水深の浅い瀬戸内海は小海老や貝などが密集していて鯛にとってはご馳走だらけなのだろう。この鯛の胃袋にはタコが丸飲みされて入っていた。食欲旺盛な雌の鯛だ。この季節は内臓も料理に使う。

瀬戸内海の季節は確実に移行している。

2011年2月21日月曜日

Bon anniversaire!

先日、次女の誕生日だった。こんな時はだいたい他所のお店でガトーを注文する。自分で作るよりもイベント性が強くなって盛り上がるからだ。

長女は誰の誕生日か、なんてお構いなしだ。自分が中心になっていつも楽しんでいる。そもそも次女はまだ1歳だから誕生日がなにだかも解らない。でも毎年ちゃんとお祝いしてあげよう。その愛がいつの日か君の心の支えになるようにね。

2011年2月19日土曜日

Vector

いつも初心でいたいと思っている。

いつも成長したいと願い仕事をしている。

どんな単純なプロセスでも向上の余地があるのではないかと探る。

些細なディティールにこだわりぬく。

今日できる限度まで頑張れば明日はもう少し上までいけるかも知れない。

頑張ると疲労する。

疲労するともっと頑張らなければならなくなる。

疲れがたまってくると感覚が研ぎ澄まされてゆく。

物事の核が、本質が見え隠れしだす。

普段見えなかった物が見えてくるかも知れない。

そこへ突き進もうとする。

もし飛べる可能性があるのなら、最も高いハードルへと向かおう。

苦しみのない仕事なんて、僕にとって価値のない仕事かも知れない。

向上したいと思うベクトルが疲労をうみ、その疲労感が感性の鋭さを増してゆく。

僕は夢なんて語らない。

本当にできることだけをを積み上げてやる。

失敗も挫折も批判も、どんな困難だって作りだすのは自分。

戦いの相手は常に自分自身だ。

それがクリエイションだと思う。

2011年2月18日金曜日

Truffe 10

トリュフの内部にある白っぽいマーブル模様は表皮に出てくることは決してない。トリュフをナイフなどでカットしなければ見えない。表面の凹凸と内側のマーブル模様の形成には何らかの関係があるのだろう。表皮直下から突然始まる白い線はトリュフの言語、メッセージだ。

トリュフは考えている。

僕も思考する。

2011年2月17日木曜日

Sanuki Udon 2

僕はある讃岐うどんの店に4年間通った。多ければ月に3回、少なくても月に1回は行ったかな。そしてこれからも行くと思う。

香川県のうどん屋さん、というか「讃岐うどん」の提供プロセスからして、お店に入る時間や混み合い方などのタイミングで「うどん」の状態に差がでる。悪く言うと当たり外れがある。だから1回の訪問で店の評価はできない。食べ手にすれば関係のないことかもしれない。わざわざ来たから1回勝負。でも僕は1度で全てを判断できない。どんなお店だって微妙なコンディションの違いがあるのは当たり前だから。

2011年2月16日水曜日

Le 13 Fevrier 2011 OA Tokyo [Hatalike CM]

我々を採用してくれたリクルートのテレビ・コマーシャルが、2月13日より関東、関西、東海、北関東エリアでOAされている。昨年、9月からのOAはそれ以外の地域だった。東京を離れて4年が過ぎた。最近会えていない人、まだ生きてますよ。

あの撮影は本当に楽しかった。良い経験になった。何より刺激になった。プロフェッショナルって良いなと強く感じた。

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皆さん是非みてください。

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2011年2月15日火曜日

Neige Valentine

昨日、また雪が降った。先週の金曜日よりも積もった。しかし、消えるのは速かったと思う。雪の質が違うのだろうか。全国的に寒く、関東地方でも雪が降ったようだ。

東京の時とは違う。何せここは山だ。坂道を登らなければならないので積雪するとちょっと困る。昨日の夜はどうなる事かと思ったけれど、今朝店舗に来たら雪はあとかたもなくなくなっていてホッとした。雨が洗い流してくれたようだった。

ヴァレンタインと雪はなんだかとても似合わない、ような気がする。

2011年2月14日月曜日

Neige

今年は全国的に寒いのだろうか。ニュースなどに触れる機会が激減している。天気予報はネットのウェザー・ニュースに自らアクセスしなければ自動的には情報が入ってこない状況だ。新聞を読むのもままならない。

先週の金曜日のことになるが高松に雪が降った。山沿いなど、ちらついたり、多少吹雪いたりすることはあるが積もらない。東京にいた時は結構雪が降った印象がある。

店舗の庭もまばらだが積雪した。お客様の通り道の雪をどかして、安全に階段を昇れるようにしなければならなかった。

庭が白く飾られるのも風情はあるけれど、人間は自然や気象現象の前では本当に無力だと思う。


2011年2月12日土曜日

Truffe 9

トリュフのマーブル模様はまるで迷路のようだ。緻密に分布している部分とマーブルがやや引き延ばされた部分がある。それにごく緩やかな回転が加わっている。トリュフも大きさはまちまちだから成長しているわけだ。経験的に大きければ良いわけではない。大きさは熟成とも関係している。白い部分と黒い部分ではテクスチャーが違う。

このトリュフは状態の良い直径が4cmほどのものだ。

2011年2月11日金曜日

Truffe 8, Bibliographie 11 [Le Grand Livre de la Truffe]

「Le Grand Livre de la Truffe」 par Pierre-Jean et Jacques Pebeyre, Guy  Langlois

世界に上質のトリュフを供給している「Maison PEBEYRE」がDaniel Briand - Robert Laffontから1988年に出版した。この本はトリュフの歴史やメゾン・ぺベールの歴史、採取、処理方法とともにその半分を料理のルセットに費やしている。トリュフ料理の本だ。

その当時、そして今日も活躍しているシェフ達の料理と19世紀後半の古典も少し掲載している。トリュフはどんな素材と相性がいいのか、それがわかる教科書のような書籍だ。



2011年2月10日木曜日

Le Marche 2011.2.10

築地では魚を活け締めにする時に包丁を使う人が多かったと思う。瀬戸内海では手鍵を使う。手鍵で締めた魚の方が魚体が綺麗だ。しかし難易度は高いだろう。そこに仕事の美学がある。

今日の鯛もピカピカに輝いている。釣り上げるところから幾人もの手を渡って僕のところへやって来た。目の前が漁場で物流の距離と時間が決定的に短いのが1つ。もう1つには皆鯛を大切に扱ってくれるからこんなに良い状態でいる事ができる。鯛つながりで皆が結ばれてる。

瀬戸内海の天然真鯛は他のどの産地とも違うオンリー・ワンの味わいを持っていると思う。

2011年2月9日水曜日

Mandarin Oriental Tokyo

プライヴェートな用事ができて東京へ行った。最近は「The Peninsula Tokyo」がお気に入りなのだけれど、今回は「Mandarin Oriental Tokyo」に予約を入れた。場所は日本橋、三越の並びだ。最高の立地条件。とても快適なホテルだった。ペニンシュラといいマンダリン・オリエンタルといい東洋のスピリッツが効いてるホテルは優秀だ。

心地良い時間の流れが僕達には最高のご馳走なんだ。

2011年2月8日火曜日

Truffe 7

この「黒トリュフ」は平均的な品質とマーブル、香りを持つ。中心部分の白がやや大きく、核のようになっている。たまにこのような芯を持つトリュフがある。

見れば見るほどミステリアスな生き物だ。「黒トリュフ」は都市ガスと同じような方向性の香りを含む。本来無色無臭の都市ガスは事故防止のために人為的に匂いをつけていて「ターシャリーブチルメルカプタン」と「ジメチルサルファイド」という成分の事が多いとか。しかしこれらの成分は「悪臭部質」とみなされているようだ。

「黒トリュフ」の香りは妖艶だ。禁断のトリュフのなまめかしい香りに魅了されしまったなら、その呪縛からのがれることは困難だ。

2011年2月7日月曜日

Truffe 6

僕は通常「黒トリュフ」を使う時には表面の固い部分を包丁で剥きとる。表面はややガリガリとしたテクスチャーがありコリコリとしたトリュフの持ち味を邪魔するからだ。それにトリュフは地中に埋まっているところを豚や犬が探し出す。採取された時は土まみれなのだ。ブラシできれに磨いてから出荷されるが複雑に入り組んだ表皮に土や砂が残っている。皮の部分は別の使い道がある。

トリュフの表面は三角錐や四角錐の先端がはじけてゆがんだような形が無数に連なる。不揃いだが規則感のある不思議な連鎖が続く。この山型も個性が1つ1つ違っていて、もっと大きくはっきりとした形の物もあり、「夏トリュフ」はそういうものが多い。

このトリュフは冬の「黒トリュフ」としては平均的なものだと言える。

2011年2月5日土曜日

Truffe 5

トリュフにも産地や採る時期、品種によって色々な種類がある。夏には「夏(サマー)・トリュフ」、秋には「秋トリュフ」そして通常冬のトリュフを「黒トリュフ」と呼ぶ。産地もフランスのヴォークリューズやイタリアのピエモンテなど様々だ。

1989年の2月に僕はフランス南西部、ドルドーニュ県ペリゴール地方の都市、ペリグーを訪れていた。フランス料理の料理人なら「ソース・ペリグー」を知らない者はいないだろう。この土地にゆくことは僕にとって巡礼といっても過言ではなかった。目的は地元で「ソース・ペリグー」を体験することはもちろんだったが、やはりトリュフの市場を見たかったのだ。ここの「マルシェ・オ・トリュフ」は「フォア・グラ・ド・キャナール」も一緒に売られていた。150km南下すればガスコーニュ地方、ランドがある。世界1のフォア・グラの産地だ。

この時の市場の光景が今も鮮明に蘇る。僕のトリュフ信仰の聖地だ。

2011年2月4日金曜日

Truffe 4, Bibliographie 10 [La Truffe]

「La Truffe - et les mysteres du Diamant noir」 par Guy Bontempelli 1988

題名を訳すれば「ラ・トリュフ その黒いダイアモンドの神秘」となる。この本は豊富な写真を利用してトリュフの産地から所縁のある土地、施設、取引の方法、歴史などを紹介している。

半ば写真集のような装丁なので見やすい。その写真もとても良い写真だ。カメラマンには、

Photographies, Gerard Pelisson-Lafay

とある。料理のルセットの紹介は本文中にいくつかあるが料理の写真はない。これが良い。この本は料理の本ではないのだ。ガストロノミーの分野とは違った視線でトリュフをとらえているが、茸類として学問的に書いているわけでもない。

生涯持ち続けるであろう、貴重な一冊。


2011年2月3日木曜日

Truffe 3

このトリュフはややグレーかかっている。白いマーブル状の線が太さも分布も不均一だ。ところどころグレーが強いヵ所は水分を含んでいて指で押すとその部分は特に柔らかい。

香りも穏やかだ。加工用にB品を仕入れたから当たり前だが秀品とは見た目も香りも明らかに違う。このトリュフはピュレにして使うつもりだ。

2011年2月2日水曜日

Truffe 2

トリュフは日本語にするならば西洋松露(セイヨウショウロ)と訳される。西洋松露は子嚢菌門セイヨウショウロ科セイヨウショウロ属のキノコの総称だ。ヨーロッパ産のトリュフも種類は色々ある。オークの木の根元から半径120~150cm以内、5~40cmの深さに出現する。

トリュフの香りが本格的に乗ってくるのは1月からだ。今日のトリュフの断面を見てみよう。

1つ1つ模様や外皮の感じに差がある。香りやテクスチャーとの関係を考察してみたい。

2011年2月1日火曜日

Truffe 1

トリュフは特別な素材だ。本物のトリュフに初めて出会ったのはフランスへ行ってからだった。それまでは日本に輸入されている物は加熱された瓶詰めや缶詰めがほとんどだった。今ではフレッシュのトリュフがフランスやイタリアから届く。状態も良い。

トリュフは1素材ではない。1つのカテゴリーなのだと思う。まずはビジュアルを。