2011年9月30日金曜日

Truffe 26

イタリア、マルケ産の「秋トリュフ」の外皮。ガリガリとしていて乾いている。ナイフで削るとパラパラと砕ける感じだ。皮を完全に取り去り皮よりはしっとり感のある内部を比較的薄めにカンナのようなトリュフ・スライサーで薄く削る。ふんだんな量をサラダなどにのせてシンプルに食べる、そうすると次のインスピレーションがわいてくる。

2011年9月29日木曜日

207 rue La Fayette, 75010 Paris

http://tomoshiroinoue.blogspot.com/2011/09/gare-takamatsu.html

1989年、今から22年前のこと。「207 rue La Fayette, 75010 Paris」は僕がパリに住んでいた時の住所だ。とても古いアパルトマンだった。住所をGoogleでサーチしてみたら今でも現存していて、不動産屋さんのサイトに引っかかった。先日、JR高松駅にいったらふと22年前のことを思い出したからだ。

あの時は最初の修業先であったシャンパーニュ地方のランスから一年ぶりパリになんの当てもなく一人で出てきて、カルチェ・ラタンやオデオンあたりの安いホテルに泊り、パリで暮らすためのアパルトマンと仕事を探していた。「もし住める部屋が見つからなければ日本に帰らなくてはいけないのかなー」、などと考えたりしてとても不安だったように思いだ出す。しかし僕は日本からの片道切符で飛行機に乗り、何と信じがたいことに帰りの飛行機代も持っていなかった。だから何としてでも仕事と部屋を探さなければならなかったのだ!今考えてもゾッとするような話だ。

色々苦労はしたけれどなんとか部屋が見つかった。1890年に建てられ、当時も傾いたようなアパルトマンで部屋には「レミー」がいて上階からは神への祈りの声と音楽が聞こえ、隣人の友人は廊下で泥酔していた。知らないうちにファサードの玄関のパスワードが変更されれば朝まで部屋に入ることができなくなったが誰も僕の心配はしてくれなかった。あの時に「生き抜く」すべを知った。

しかし仕事を見つけるのは楽しかったし苦にならなかった。パリにはミシュランの星を獲得している最先端のレストランがきら星のごとく存在していたからだ。片っぱしから星付きレストランを周り仕事を探した。

僕は潔く色々な思い出や物を捨てる。その半面執着のある物はとことん保存する「癖」がある。当時のパリの部屋の契約書なんかもそのうちの一つだ。だって、あの時の経験が今の自分を支えていると思うからさ・・・。

2011年9月28日水曜日

Truffe 25

イタリア、マルケ産、秋トリュフがやってきた。

イタリア、マルケ州はアドリア海側の州で140万の人口がある。州都はアンコーナ。トスカーナ、ウンブリア、エミリア・ロマーニャの各州と接している。マルケ州全域でおよそ16種類のトリュフが収穫できるが、白トリュフ Tartufo bianco(Tuber magnatum Pico) と、 黒トリュフ Tartufo nero pregiato(Tuber melanosporum Vitt.)が主要なもの。

夏トリュフや秋トリュフにも言えることだけれど、所謂、冬のフランス、ヴォークリューズ産黒トリュフや秋のイタリア、アルバ産白トリュフなどと比較してもあまり意味がない。そのような比較はむしろ夏や秋のものに対し興味を失わせるだけのことになってしまう。むしろ別のカテゴリーと認識すれば食材としての価値はとても高いといえるのだ。

今回のトリュフはとても小さく、直径がおよそ2cm~3cm、重さ10g~15gと言ったところだ。内部のマーブル模様の線は白くそれ以外の部分は夏トリュフに比べだいぶ濃い色になって熟成感を感じるが乾燥していて持った時の体感は眼で見た大きさに比してとても軽い。外皮の藤壺のような形状はダイナミックに落差があり凹凸がはっきりとしている。香りは穏やかだが夏トリュフの「爽やかさ」とは少し違う。

2011年9月27日火曜日

Hall Site

サンポート高松の中央に見える高い建物は「Tower Site タワー棟」、すぐ左の低い建物は「Hall Site ホール棟」で中には大、小のホールや屋外のデックスガレリア、ショールームなどがある。大ホールは1500席あって、なかでも舞台を囲みながら4階席まであるバルコニーはオペラ座的会場の一体感が心地よい。劇場に入るとエンターテイメントの臨場感にあふれていて、高松にきてから何となく忘れていた「あの空気」を感じることができた。

というのも日曜日にその「大ホール」に出かける機会を得たからだ。長女の通う「バレエ団」の「アトリエ公演」が開催された。若いバレリーナたちが一生懸命に演じる姿に感動した。人が何かに一生懸命にとりくんでいる様子は本当に気持ちがよいしエキサイティングだ。だから僕も必死に拍手した。手が痛くなるまで。観客の拍手が彼女たちの一番のご馳走だ。だからちゃんと拍手しないと駄目だ。

打ち込めるものがあって、打ち込めるチャンスがあって、それを披露できるって本当に素晴らしいな。先生たちすごいですよ。改めて、心より拍手を送ります。

「Bravo!」

2011年9月26日月曜日

Le Marche 2011.9.26

すごい「鱸」がやってきた。丸太のように太っている極上物。まだ生きている。命が漲っている。とても緊張する。料理するとは命と対峙すること。

他者の生命を奪うことへの葛藤、それが料理だ。

2011年9月24日土曜日

Le Marche 2011.9.24

太刀魚は骨付きのままぶつ切りにされてスーパーマーケットなどでも売られているので家庭でも馴染みのある魚だ。塩焼にするととても美味しい。でも小骨が多くせっかく美味しい上品な身を食べるのに少々面倒だ。だから僕は太刀魚を三枚に下ろす。長い魚なので結構大変だ。

太刀魚を下ろす時に見る背びれは息をのむほど美しい。半透明のローブ。魚体自体の美しさと言えば「細魚」が綺麗だ。透きとおるような透明感、滑らかに光る銀。「細魚」の口はとんがっているけれど長いのは下顎で上顎は短い。よく見ると結構愛嬌のある顔をしている。太くて大ぶりな物は高値で取引される上物だ。瀬戸内海物の「細魚」は築地にも沢山出荷されているスペシャリテだ。

2011年9月23日金曜日

Sanuki Udon 25

8月、9月と何かと忙しくて思ったように「うどん」を食べることができなかった。何と、香川県に住んでいても忙しいと「うどん」を食べることができないのだ。うどん屋さんだらけなのに、だ。ていうか、普段できないことを休日に片づけなくてはならず、結局日曜日はゆっくりするどころかとても多忙な一日になってしまう。

でも、先週は久しぶりにいただきました。

2011年9月22日木曜日

Minnie Mouse 0.0477Kg

衣装込重量47.7グラムのミニーマウスは8個のヘリウム入り風船で飛ぶ。ということは47キロぐらいの人は8000個の風船で浮き上がることができるかも知れない。そんなに単純じゃないかも知れない。

「カールじいさんの空飛ぶ家」ももしかして・・・。

2011年9月21日水曜日

Rhetoric

「文化庁、国語世論調査」という記事を見た。

「姑息」という言葉の意味を「卑怯な」と答えた人が71%に上り、「一時しのぎ」と正しく回答した人は15%にとどまったそうだ。以前にも「確信犯」を「犯罪と認識している」とした人の方が多く、「(ある価値観において)正義と確信している」と正解した人の方がはるかに少なかったという記事を目にしたことがある。それ以外にも慣用句の間違いや「ら」抜き言葉など色々な誤用について指摘していた。

しかし、これだけ誤用が広まり、しかも浸透しつつある言葉というのは、テレビや映画、雑誌や小説などの媒体の誤用も大きく影響しているのではないだろうか。学生時代のボキャブラリーにはなく、社会に出てから使い始めた言葉なら教科書などの教育よりそれ以外からの影響が強いわけだから。

歴史の中で語意が変化した言葉も多くあるらしい、今日もまさにそのさなかなのだろう。

2011年9月20日火曜日

Le Marche 2011.9.20

また台風が近ずいている。台風15号「ロウキー」。

台風には1号、2号の序列とは別に今年の場合はアイレー、ソンダダー、サリカー、ハイマー、メアリー、マーゴン、トカゲ、ノックテン、ムイファー、マールボック、ナンマドル、タラス、ノルー、クラー、ときて今回の「ロウキー」だ。アジアの14ヶ国と地域が命名しているそうだ。

香川にきたら台風が最もだけれども、兎に角、自然現象の影響を受けやすくて大変な思いをしている。四国をかすめる台風は多いのでそのたびに予約がキャンセルになったり、自分たちが避難しなければいけなかったりと振り回される。だいたいの場合瀬戸大橋が通行止めになるので本州からのお客様はこれないし帰れなくなる。東京は地理的条件や街の造りや生活習慣が違うから天候くらいでそうそう商売には影響しなかった。

自然の前では人間はとてもちっぽけではかない存在だ。でも商売そんなこといってられないのに。どーしよー。エーン、辛いよー。今外は豪雨真っ最中。

でも今日も魚は確保しました。

2011年9月19日月曜日

Gare Takamatsu

僕はパリにいた時、「Gare de l'Est パリ東駅」の近く荷住んでいた。そのアパルトマンは10区だった。「207 rue La Fayette, 75010 Paris」が住所だ。

パリには所謂「パリ駅」の存在はない。向かいたい地方によって「北駅」、「東駅」、「リヨン駅」、「オステルリッツ駅」、「モンパルナス駅」、「サンラザール駅」、と時計回りに分離して配置されている。パリの街の歴史的に価値ある景観を守るために街の中心部分に鉄道を通して貫いたりしなかったのだろう。その代わり地下鉄とバスがとても充実しているので暮していて不便を感じることはなかった。

そして、パリにあるそれらの駅は全て終点駅だ。電車が通り過ぎることはない。全部の駅に車止めがあり、その駅で止まり元きた線路を再び戻ってゆく。

JR高松駅は終点駅だ。線路はそこで終わっている。駅舎の感じもどことなくパリにある主要駅をコンパクトにしたように見えないこともない。しかし高松には地下鉄がない。

あのころがなんだかとても遠い、とても懐かしい・・・。僕は大切な何かを忘れたりはしていないだろうか?

2011年9月17日土曜日

SunPort Takamatsu

「サンポート高松」と呼ばれる高松港一連の施設の中に「シンボルタワー」という建物がある。何と四国一の高さを誇る。このタワーの30階に石鍋裕氏の「クイーンアリス」、29階には陳健一氏の「陳」、そして中村孝明氏の「中村孝明」がある。

高松、どうですか?

2011年9月16日金曜日

Le Marche 2011.9.16

大きい鮑は一個で660グラムある。小さい鮑は各200グラム。獲れたての天然黒鮑だ。またしても台風の影響で今外は荒れ模様。明日の市場が心配になってきた。

でも台風などで海の中がかき回されるのもたまには必要なのだとか。栄養が隅々まで行き渡るとまた瀬戸内海に活気が戻ってくる。

2011年9月15日木曜日

Le Marche 2011.9.15

本当に刀のような「太刀魚」がやってきた。この魚も歯が鋭く獰猛な肉食獣だ。お腹の中からは小魚やらタコ、イカなど自身の体に比して大きな獲物が続々と出てくる。

しかし下ろすとその身は白く透きとおりとても上品な身質だ。勿論この魚も瀬戸内海のスペシャリテ。

2011年9月14日水曜日

Figue

我々のレストランがある山には「イチジク」の木が沢山ある。農園で管理されているものから、放棄されて自生しているもの、もともと自生しているかのように見えるものもある。ずーっと昔、誰かが植えたかも知れないから。レストランの敷地にも「イチジク」の木がある。この土地でその昔「イチジク」を育てていたようだ、という話を聞いたことがある。そうだとしてももう50年前の話だけれど。

高松市のお隣は坂出市だ。ここには「イチジク」農園がある。毎年この季節のなるとフレッシュの「フィグ」がそこかしこに並ぶ。この鮮度の「フィグ」は産地でしか味わえない自慢の逸品だ。

2011年9月13日火曜日

Map of Takamatsu

高松の街はこんな感じだ。高松は港街だ。でも市街地を歩いていてもなんだか港町という実感が薄い。少し残念だ。もっと港町の雰囲気を醸し出して、盛り上げれば観光誘致なんかにもつながるような気がする。

僕は瀬戸内海の目の前に住んでいる。それをもっと活かして生きてゆきたい。もっと変わりたい。ここでなければできない決定的なことをなんとか見つけだしたい・・・。

2011年9月12日月曜日

20th ANNIVERSARY

2021年の9月4日は僕たちは何をしているかな。どんな世の中になっているんだろう。「あの時は楽しかったんだよ」、って2011年を思い出すことができるのだろうか。子供たちは14歳と11歳になっている。

想像できないな・・・。

2011年9月10日土曜日

Week End

どんなにもがいても、どんなに苦しんでも、時間は容赦なく流れる。そしていつか止まる。

いつかはね。

2011年9月9日金曜日

BeMagical!

生きていると本当に色々なことが起きる。嬉しいこともあるし、悲しいこともある、感謝の気持ちで一杯になることも、そしてとても驚くこともある。胸が一杯になることもある。最近の僕はこんなことが毎日、全部一緒に起こっているような感じだ。

僕は子供たちの顔を見ているだけで胸が一杯になる。ちゃんと育ててあげらるかなって、不安になるから。自信がないんだ。

だからどんな努力でもできる。自信がないから。

2011年9月8日木曜日

The Cheshire Cat

僕の休日がこいつらにかかった暁にはもう・・・。とんでもない魔法使いだ。

2011年9月7日水曜日

Ristorante di Canaletto

つかの間の休日がやってきた。

2011年の8月はかつて経験したことのないほど働いた一月だった。まー、今までだっていつも目一杯やってきたから、特別な感慨があるわけではないけれど、でもさすがに疲労したな。歳もあるしね。と思ったら9月に入り四国に台風が直撃、今度は逆に予約がキャンセルになったり・・・。「いつも自分以外の要因で振り回される」、なんて思ってはいけない。全部自分に起こった、自分が造りだした、自分の運命ですから。良いことも、悪いことも、全て自分自身の責任。

2011年9月6日火曜日

Book store

僕は本が好きだ。どんな本でも好きだ。色々なことに手を出す時間がないので最近は料理の本ばかりになってしまった。でも本当は様々なジャンルの本が読みたい。小説、エッセイ、画集、写真集、何かの専門書、専門書は自分のまるで関係のないものを見たりするのが楽しい。そこには知らないことばかりが書いてあるから。

もっぱら「楽天ブックス」や「アマゾン」で本を買っている。新品、なのは当然だけど誰も手にしていない綺麗な本が届くのが良い。でもリアル本屋さんに足を運ばなければ「思いがけない発見」に出会えないからたまには本屋さんにいかないといけない。

東京にいたころはよく神保町にいった。神田、神保町には沢山の古書店が軒を連ねている。古書でも専門分野を持っているお店が多い。洋書の専門店や料理書の専門店だってある。三島由紀夫や谷崎潤一郎、川端康成、澁澤龍彦、チェーホフ、ランボーなんかの古書をよく物色しにいったものだ。今でも大切に持っている。

本は僕を、光よりも速く、風よりも自由に、過去にも、未来にも飛ばせてくれる魔法の乗り物みたいなものなんだ。

2011年9月5日月曜日

Typhoon

今回の台風で改めて思ったことは、「四国」は島だ、ということ。強風が吹けば本州から四国に続いている3箇所の橋は通行規制がかかったり通行禁止のなる。そんな時はむろん飛行機も欠航になる。勿論船は航行できない。つまり四国から出ることができなくなる。

東京や大阪に用事がある時は自分自身が動けなくなりとても困るし、日常の不便さでは宅配便等の物流が滞り、荷を送ることも受け取ることもできなくなることだ。地方にいると宅配便で取り寄せる食材も少なくないからだ。

そして何より、瀬戸内海が荒れると僕はもう何もすることができない。

調理場の出口から外へ出たらこのありさまだ・・・。

2011年9月3日土曜日

975hPa

香川県の真上を台風12号「タラス」が通過する。気圧計の針がどんどん下がってゆく。風が吹き荒れ、豪雨が降っている。高松よりも西上空を通過すると高潮になるリスクが増える。僕たちはただじっとしているしかないのだけれど。

2011年9月2日金曜日

2011年9月1日木曜日

2011.9.1

9月1日だ。

昨年の同日にBlogをアップ・ロードし始めてちょうど1年。日曜日以外は一日も休むことなく更新し続けた。時間を捻出するのにとても苦労して一日遅れになったり、逆に書きためておいたり。でもやろうと決めたことが曲がりなりにも達成できてほっとしている。

それに節目だからまた生まれ変わるチャンスじゃないか。今日から何かを変えなくてはいけない。