2012年4月28日土曜日

Regionally produced and consumed

地方のレストランで料理を作る難しさについていつも考えている。

東京にいた時は世界中、日本中から良いと思った素材を選んでいた。上質な素材の持ち味を存分に引き出し、その上で個性的な料理を作りたいと考えていた。

香川県のような瀬戸内海の真っただ中、地域の農産物もあるような場所では遠くの地域の食材が使いにくい。東京で北海道の海産物を使ってもそれは普通のことだった。でも高松ではピンとこない。目の前が海だからだ。遠方からお越しくださるお客様ならなおのことだ。オマールやソーモン、サン・ジャックを使っても、「これならどこでも食べることができる、地の物が食べたい」と言われてしまう。当然だけれど。

しかし、ただ地元の素材、と言うだけでは駄目なのだ。納得できる素材でなければ。四国産なら何でも良いわけではない。魚介類はなんとかなるとしても、肉類が難しいなー。豊富な種類から選べるわけでもなく、更に納得できる物となると。だってそれはバスクの豚とかイベリコ豚より良い品質なのかどうかいつも考えなければならない。そして、もしそれらより劣る素材でも地元の物を優先させるのか、という大きな壁。肉に限らずいつもそんな事との戦いだ。

兎に角、国産で質の良い物が手に入るならなるべくそちらを使うように心がけてはいる。でもなかなかフォア・グラを使うのをやめられない。それは料理人としてフォア・グラが巧みに扱える、というテクニックを向上させたり維持したい、という欲望にかられてしまうからだ。オマールやトリュフ、色々なシャンピニョン、フランス料理を象徴するような素材は全部だ。

モリーユがあると聞いたらもういてもたってもいられなくなってしまう。困ったもんだな。僕はフランス料理に憧れて、当時日本にまだない素材に憧れて料理人になり、そしてフランスへ渡ったから。

香川県にいても上手く世界、そして日本中の食材と付き合い、それでいて瀬戸内のテロワール溢れる豊かな料理が作れるようになりたい。欲張りかも知れないけれど・・・。

流通革命がおこり、世界や日本中の素材に恵まれた上でのとても贅沢な悩みだな。そんなわけでモリーユは香川県産の極太アスペルジュ・ブランシュと。