これは「Pâté de Campagne」ではない。
シャルキュトリー規範によると「パテ・ド・カンパーニュ」の肉の部分の素材は100%豚肉、ということになっている。鶏のフォアが入るだけでも「パテ・グランメール」とその呼称が変わる。「パテ・ド・カンパーニュ」には付加される副素材により派生形が多く存在する。地方色がでることもある。詰める型により「テリーヌ・ド・パテ・ド・カンパーニュ」ということもある。
なので、ここではこの「パテ」を「テリーヌ・メゾン」と呼ぶことにした。「テリーヌ」に入れて焼いたから。
シャルキュトリー的な考え方でパテやテリーヌを作る場合とレストランのアントレ・フロワ、またはアントレのパーツとして作る場合はそのメソッドに違いがある。ある程度、保存性を求めるのであれば、どの中心温度に誘導するのか、という部分に違いがでるし、そもそも僕は発色効果のある、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの添加物を使ったりしない。レストランだからそれが普通だと思う。
温度や時間、エピスなどの違いは当然、味わいにも影響してくる。
しかし、この手の料理の仕込みは楽しいものだな。今回は豚の喉肉をメインに、フォア、ラール、それにピジョノー丸ごと一羽分の肉、内臓を全てブリュノワーズに切っていれた。そしてランド産のフォア・グラ・ド・キャナールを大きめのデに切って。
いつもならポワブル・ヴェールを入れるところだが、今ちょうど季節の徳島県産、実山椒をブランシールして胡椒とは違うアタックと地方の香りを、こうしたファルスにつきもののピスターシュも。オーストラリア産黒トリュフのアッシェ。
その他諸々・・・。
そして、思い出すべきあの人と、昔の思い出と、少しだけ冷やした赤ワインと・・・・・・。