2012年10月4日木曜日

Bibliographie 53 [6 Livres]


料理の研究をしようと思うと写真のない本を読むことになる。古典に写真はない。

最近の写真だらけの本も良いけれど、こう云う勉強も必要だ。

ちょっと古いものもあるが、写真の殆どない今週の6冊。
読む時間がないがどうすればよいかなー。

今、一番欲しいのはゆっくりと本を読むことのできる時間です。

で、

一番上の「古代ローマの饗宴」Eugenia Salza Prrina Ricotti 著、では「アピキウスの料理書」はアピキウスが書いたものではない、と云う根拠を示している。1991年に平凡社より刊行された本を、講談社学術文庫が部分的に抄訳の形で再販した文庫。コンパクトでも内容は濃い。

上から2番目の「食と文化の謎」の著者、Marvin Harris 氏は異端中の異端の人類学者(特に日本では)で読み終えたら食欲が無くなる本。1988年に岩波書店から刊行され、2001年に岩波現代文庫で再販。

3番目の「食の500年史」はNTT出版より2011年に刊行、結構新しい。「ムノンの「新料理概論」(1742)で初めて、ヌーヴェル・キュイジーヌという表現を用いた、この呼称は今日に至るまで広く使われている」と記述がある。

「新料理概論」は「La Nouvelle Cuisine」(1742) Menonを指す。

4番目の「味覚の歴史」は大修館書店より1991年に刊行、Barbara Ketcham Wheaton 女史の「Savoring the Past. The French Kitchen and Table from 1300 to 1789」の全訳。1300年から1789年にかけてのフランスの調理場と食卓に関しての研究書。多くのフランス古典料理書とその関係図書を取り上げて考察を加えている。

この手の本の参考図書目録を見るのが好きです。

5番目の「火の賜物」はNTT出版より2010年に刊行された、Richard Wrangham 氏の「Catching Fire」の全訳。著者はハーヴァード大学生物人類学教授で「人類は料理とともに進化した」、「加熱調理が食物をエネルギーに変え、私たちの祖先の歯や顎、消化器官を小さくし、脳を大きくさせた」、「料理が男女の役割分担を促し、現代に至る社会構造の基礎を創った」と述べている。

とても興味深い学説。

一番下の本、Patrice Gélinet 氏が2011年まで10年以上(月~金・30分間)にわたり続けていたフランスの人気ラジオ歴史番組「2000ans d'histoire」をもとに「2000ans d'histoire gourmande」Patrice Gélinet 著として、原書房から2011年に刊行された。

それにしても何故、Jean Anthelme Brillat-Savarin の「Physiologie du Goût, ou Méditations de Gastronomie Transcendante; ouvrage théorique, historique et à l'ordre du jour, dédié aux Gastronomes parisiens, par un Professeur, membre de plusieurs sociétés littéraires et savantes(1825)」を「味覚の生理学」と云わずに「美味礼讃」と云う事が多いのだろうか。関根秀雄先生は偉大だなー。